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☆偶数月第一土曜に語り合いの会をもっています☆


by あ~あ

カテゴリ:こんな会あります③学会発表など( 7 )

所属をにじいろとしての学会発表がありますので、
内容をブログで公表できるところまで掲載いたします
(異文化コミュニケーション学会に提出したproposalから引用と反省)

追記21日

*************************
発表タイトル:
カサンドラ症候群がおかれている不可視性とその問題点
―インタビューを通してその困難を知る―


発表の内容要旨

・背景
アスペルガー症候群の方を配偶者にもつことにより、カサンドラ症候群という様々な症状があらわれる。このカサンドラ症候群という言葉は広がりをみせつつあるが、まだまだ理解されない現実がある。
配偶者という立場は、婚姻関係を意味し、生産・再生産の役割において二人は依存しあい、次世代を生み育むこともあり得、社会生活を共に送ることを意味する。
一般的に女性がカサンドラ症候群であることが多く、それはアスペルガー症候群に限ると、男性の方に多くあらわれるからである。
ここに文化やジェンダーロールが介在する。夫の文化、妻の文化、二人を取り巻く文化である。文化とは生得的なものに影響された社会的に作られたもので、個々により体得されていくものである。しかし、この説明においては、夫の文化に生得的なものがより強くある。ここで言う妻の文化と二人を取り巻く文化はほぼ一致するが、取り巻く文化に所属する人から、妻が責められることがおこる。また、社会文化的に配偶者関係にある女性が男性のお世話をしていることは規範に則っていることであり、外からはこの関係の問題点に気づくことは稀である。シリアスなケースは行政が介入する場合もあるが、そこまでではないケースでも、心身の健康に問題を抱えるカサンドラ症候群に陥ってしまっている。

・目的
カサンドラ症候群を異文化の視点からみ、その困難さに焦点を当てる

・方法
カサンドラ症候群に陥っておられる方(活動を通しての出会いから)に対して、ティールームでの録音しながらのインタビューをし、グランテッドセオリーで分析する

・結果
育児を一人で抱え込むことの困難さが浮き彫りになるが、
この困難の質を他者に説明することが難しい、理解が得られにくい。

・考察
不可視性の高いプライバシーが守られている密室と、不可視性の高い異文化の中、そのコンテキスト内での弱者への負担が読み取れる。しかし、その苦悩は同じ文化圏にいる身近な人間にも理解されないことが多く、逆に責められるケースがみられ、責任感があるほど大変な立場であることが伺える。

・意義
思い込みの強いジェンダーと不可視性の高い異文化の問題点を指摘


・参加しての感想
アスペルガーに関してのご関心はいただけました
また、ご意見として、多くのアスペルガーの方と立場上接点のある方とのお話も興味深いものでした
カサンドラにまで行きつくまで大変距離があると感じました
ただ、発表内容の分析方法が反省点です
今後、分析方法を手探りで見いだしていきます
当日、ご関心をいただいた皆様、ありがとうございました
また、このブログの投稿をご覧くださった皆様、ありがとうございました
by aaa-ruicchi | 2015-09-18 09:00 | こんな会あります③学会発表など
多文化関係学会@コラッセ福島(福島大学)

カサンドラ症候群
―多文化関係の視点とその不可視性から―
Cassandra Affective Deprivation Disorder:
Perspective of Multicultural Relations and Invisibility

<要旨>
多文化の文化の一つには障がいも含まれるという(松尾, 2013)。
アスペルガー(=非定型)という障がいがあり、その基本的な特徴は、社会性の障がい・コミュニケーションの障がい・想像力と創造性の障がい、の三つ組といわれるものである。自閉症スペクトラムのなかでも知的には問題なく、むしろ優れたケースが歴史的にも知られている。
この文脈で障がいという意味ではマイノリティのはずであるが、学歴や職歴および収入の意味でマジョリティのケースも多くみられ、‘…お父さんは高学歴高収入で生活は恵まれている、それなのにお母さんはすごく疲れているという…’と指摘されている(宮尾, 2014)。
加えて、家庭内という不可視性の高い個人の領域では本人が無自覚に家族を振り回しているケースが多く存在し(Aston, 2014)、この点でもマジョリティである。
アスペルガーを配偶者にもつことにより、カサンドラ症候群に陥ってしまう定型(=アスペルガーでない)配偶者はアスペルガーが属する自閉文化(長瀬, 2013)と定型配偶者が属する自文化の間で振り回されてしまう立場であり、そのカップルを取り巻くマジョリティ文化は定型配偶者の属する自文化であるという複雑なものである。
カサンドラ症候群が認識されないのは、その立場が認知されにくいことにも原因がある。それは、アスペルガーという障がいが認識され始めたのが近年でその主な対象者は年少であることがまず一つ考えられる。カサンドラ症候群に陥ってしまう人はアスペルガーを配偶者にもつことにより引き起こされる心身の不調である(Aston, 2014)ため、すでに成人しているアスペルガーが認識されていない現在において、仕事ができているように見える場合、カサンドラ症候群に目が向かうことは一般的に難しく、ジェンダーロールに則った定型配偶者が抱え込んでしまう個人的な領域に押し込まれてしまっているのが現状である。ブログとインタビューを通して、定型配偶者にとっての同じ立場の人とつながる自助グループの意義、不可視性の高い立場の困難とその状況下での独自の対応がうかがえる。

キーワード:多文化、障がい、アスペルガー(自閉症スペクトラム)、自閉文化(マイノリティ文化)
、自文化(ここではマジョリティ文化)、定型、カサンドラ症候群、ジェンダーロール


<背景>カサンドラ症候群とアスペルガー

アスペルガーの問題⇒⇒⇒定型配偶者⇒⇒⇒相談機関や相談した人にさらに傷つく
(マイノリティ文化)(マジョリティ文化)(マジョリティ文化)
⇓文化が独特 ⇓ジェンダーロールに忠実 ⇓ジェンダーロールと不可視性からくる無理解
⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓
カサンドラ症候群
低い自己評価、抑うつ、自己の損失、不安、自責、広場場恐怖などの恐怖症、
無気力感、リピドーの損失、偏頭痛、体重の増加/減少などの症状が配偶者に表れる(Aston)

上の図から見えてくるもの
家庭内という個人の領域であるため、また明文化されていない日常生活であるため、社会から認識されづらい立場である。逆の視点では、より明文化されている社会生活(ここでは就業の意)は不自由ながらできているということである。
アスペルガーは近年では三歳児検診で発見されたり、学校教育の場で教員の指摘から発見されるケースもあり、より低年齢のケースは社会からも発見されている。しかし、すでに結婚している、働いている年齢はその社会制度から抜け落ちており、この年齢で仕事ができているケースでは診断もおりにくい。

省略

<方法>
調査対象者
・カサンドラ症候群を対象とした自助グループ、‘にじいろ’とそれに関わってきた/いく人物
・にじいろのブログ

<手続き> 
対象者へのインタビューはオープンクエスチョンで、時々の考えと、会の設立からの取り巻いてきた環境とその変化をみる、2014.09インタビュー実施
ブログは‘にじいろのあゆみ’、‘こんな会あります’を中心に閲覧、他コメント欄でのやり取りを通して

<インタビューとブログ>
省略

<結果>
にじいろがスタートした時点では、とにかく同じ経験を持っている人が会って話すことが目的であった。当初、アスペルガーを知ることにより、自分で自分を責め続けていたことが間違いであって、相手の障がいによる特徴が原因だと知ったことのショック、その配偶者の障がい自体を受け入れられない、そのような状態で参加した人も存在した(あ~あのこと)。カサンドラ症候群という言葉そのものもスタート時点では存在せず、配偶者がアスペルガーであると知っただけであった。
成人になっているアスペルガーに対する社会からの認識はまだまだで、その定型配偶者となると認識されることは難しい。認識しあえるというこの役割を担うにじいろを発起人が立ち上げるにあたっては「なければ自分で作る」、それ以外の方法はなかった。
現在は、その次!の状態、知る→受け入れる→そこから次!の段階にも対応できるような会のあり方を模索している段階である。現在まで参加者さんからよく聞かれる言葉は「通じる!」であり、それはこの語っているお二人も同様の発言がみられる。同じ経験を有し否定されることなく共感できる場を得ることから、発言力をもつことができると感じられる。
にじいろとしても、吐き出して共感する段階も維持しながら、次の段階へ移行する時期だと考えられている。発信とつながり、次のライフステージへの転換へのお手伝い、次世代(=子ども)へのケア、などの役割が考えられる。

<考察>
この問題に直面している人の人数が少ない上、不可視性の高い個人の領域で起こっている問題であるため、周りから理解される機会がほぼ皆無の状況に置かれている。当事者が客観視することが難しく、当事者である定型配偶者に落ち度もないにもかかわらず、自分で自分を責め続けて否定し続けているため、問題解決に結び付きにくい点がみられる。身体的精神的にも不調をきたしている。
にじいろに関しては、先例がほとんどない条件でスタートしたため、日米の他目的の自助グループの事例を参考に、トラブル乗り越えるプロセスでルールが出来上がってき、カサンドラ症候群の自助グループとして、定着してきている。また、この置かれている状況を客観視するためにはハラスメントや異文化接触におけるトラブルの事例から学ぶ必要も考えられ、日本のような性別役割が明確な社会ではジェンダーの問題も大きいと考えられる。ここでいうジェンダーとは、社会構造も含んでいる。片方に収入を依存し、もう片方に家事育児を依存するのはアスペルガーの場合、家庭内の機能が働かない場合も多く、社会からのロールの押しつけはこの状況を悪化させているケースも存在する。
参加者さんは自助グループに参加することで共感を得、気づくことで発言力を増していき、自分自身の人生を取り戻すことにつながっていくと感じられる。
今後、カサンドラ症候群という立ち位置から、同じように文化の異なることに起因する問題に共通点をみつけ、共感からくる客観視、より強い発言力につなげられるのではないかと考えられる。


<引用文献>
長瀬修(2013).多文化共生論 多様性理解のためのヒントとレッスン 加賀美常美代(編) 明石書店 pp.221-245
野波ツナ・宮尾益知(監修)(2014).旦那(アキラ)さんはアスペルガー 4年目の自立!? コスミック出版
松尾知明(編)(2013). 多文化教育をデザインする 移民時代のモデル構築 勁草書店 

<参考文献>
Aston, Maxine (2014) . The Other Half of Asperger Syndrome - Autism Spectrum Disorder: A Guide to Living in an Intimate Relationship with a Partner who is on the Autism Spectrum. Jessica Kingsley Pub.

<引用URL>
にじいろ
『アスペルガーを配偶者にもつ人の自助グループ,'にじいろ'-カサンドラ症候群で悩む方へ』
http://aaaruicchi.exblog.jp(2014.11.08)
by aaa-ruicchi | 2014-11-12 12:13 | こんな会あります③学会発表など
多文化関係学会@コラッセ福島(福島大学)

カサンドラ症候群
―多文化関係の視点とその不可視性から―
Cassandra Affective Deprivation Disorder:
Perspective of Multicultural Relations and Invisibility
○○○○(にじいろ)




多文化の文化の一つには障がいも含まれるという(松尾, 2013)。

アスペルガー(=非定型)という障がいがあり、その基本的な特徴は、社会性の障がい・コミュニケーションの障がい・想像力と創造性の障がい、の三つ組といわれるものである。

この文脈で障がいという意味ではマイノリティのはずであるが、学歴や職歴および収入の意味でマジョリティのケースも多くみられ、‘…お父さんは高学歴高収入で生活は恵まれている、それなのにお母さんはすごく疲れているという…’と指摘されている(宮尾, 2014)。

加えて、家庭内という不可視性の高い個人の領域では本人が無自覚に家族を振り回しているケースが多く存在し(Aston, 2014)、この点でもマジョリティである。


アスペルガーを配偶者にもつことにより、カサンドラ症候群に陥ってしまう定型(=アスペルガーでない)配偶者はアスペルガーが属する自閉文化(長瀬, 2013)と定型配偶者が属する自文化の間で振り回されてしまう立場であり、そのカップルを取り巻くマジョリティ文化は定型配偶者の属する自文化であるという複雑なものである。

カサンドラ症候群が認識されないのは、その立場が認知されにくいことにも原因がある。それは、アスペルガーという障がいが認識され始めたのが近年でその主な対象者は年少であることがまず一つ考えられる。カサンドラ症候群に陥ってしまう人はアスペルガーを配偶者にもつことにより引き起こされる心身の不調である(Aston, 2014)ため、すでに成人しているアスペルガーが認識されていない現在において、仕事ができているように見える場合、カサンドラ症候群に目が向かうことは一般的に難しく、定型配偶者が抱え込んでしまう個人的な領域に押し込まれてしまっているのが現状である。
このケースは定型配偶者がアスペルガー配偶者のお世話、カップルとしてすべきこと二人分の役割を果たす必要も出てくる場合もある。つまりジェンダーロールの両性分+αをこなすことになる。その現状が第三者に理解されることが難しく、無理解からくる悪気のない社会常識を根拠とするアドバイスで傷つくことも多い。アドバイスにより新たな混乱を起こしてしまい解決に結びつくのが困難な現状がある。

ここにみられるのは、既存のジェンダーロールや社会構造との齟齬、家庭内という個人の領域での不調和、アスペルガーに対する認識不足あるいは偏見、などの問題である。これらを一手に引き受けてしまうと、心身に不調が起きることにつながる。定型配偶者に起こるアスペルガーの二次障害とも言われている。

近年、カサンドラ症候群が一般紙でも取り上げられるようになったが、一般的に家族のプライバシーを守るため、問題点そのものをすべて語れない現状もある。

カサンドラ症候群の当事者自助グループ、にじいろの設立からのプロセスと、関係者の語りを分析する。

方法
調査対象者 
・カサンドラ症候群を対象とした自助グループ、‘にじいろ’とそれに関わってきた人物
・ブログ

手続き 
個人の問題と、会の設立からの取り巻いてきた環境とその変化をみる。
おもに、広報目的のブログと‘語り’対象とする。語りはグランテッドセオリーで分析し、この立場の問題点と会の意義を明らかにしていく。

結果
現在まで参加者さんからよく聞かれる言葉は「通じる!」であり、それはこの語っている二人も同様の発言がみられる。共感できる場を得ることから、発言する力をもつことができると感じられる。
現時点で最終段階での‘語り’が実施されていないが、「通じる!」を意味する共感を得られることが大きいと結果で出ると予測される。

考察
この問題に直面している人の人数が少ない上、不可視性の高い個人の領域で起こっている問題であるため、当事者が客観視することが難しく、問題解決に結び付きにくい点がみられる。

しかし、自助グループに参加することで共感を得え、発言力を増していき、自分自身の人生を取り戻すことにはつながっていくと感じられる。

今後、カサンドラ症候群という立ち位置から、同じように文化の異なることに起因する問題に共通点をみつけ、共感からくる客観視、より強い発言力につなげられるのではないかと考えられる。


引用文献
長瀬修(2013).多文化共生論 多様性理解のためのヒントとレッスン 加賀美常美代(編) 明石書店 pp.221-245

野波ツナ・宮尾益知(監修)(2014).旦那(アキラ)さんはアスペルガー 4年目の自立!? 
コスミック出版


松尾知明(編)(2013). 多文化教育をデザインする 移民時代のモデル構築 勁草書店 

参考文献
Aston, Maxine (2014) . The Other Half of Asperger Syndrome - Autism Spectrum Disorder: A Guide to Living in an Intimate Relationship with a Partner who is on the Autism Spectrum. Jessica Kingsley Pub.
by aaa-ruicchi | 2014-11-01 06:31 | こんな会あります③学会発表など

多文化関係学会の抄録

11月にある多文化関係学会の抄録です。ポスターセッションで参加してきます。以下の抄録は修正後、提出するものです。ほか、お気づきの点などありましたら、御意見お聞かせください。

カサンドラ症候群
―多文化関係の視点とその不可視性から―
Cassandra Affective Deprivation Disorder:
Perspective of Multicultural Relations and Invisibility

♡♡♡♡(にじいろ)♡♡♡♡ (NIJIIRO)

はじめに
多文化の文化の一つには障がいも含まれるという(松尾, 2013)。アスペルガー(=非定型)という障がいがあり、その基本的な特徴は、社会性の障がい・コミュニケーションの障がい・想像力と創造性の障がい、の三つ組といわれるものである。この文脈で障がいという意味ではマイノリティのはずであるが、学歴や職歴および収入の意味でマジョリティのケースも多くみられ、‘…お父さんは高学歴高収入で生活は恵まれている、それなのにお母さんはすごく疲れているという…’と指摘されている(宮尾, 2014)。加えて、家庭内という不可視性の高い個人の領域では本人が無自覚に家族を振り回しているケースが多く存在し(Aston, 2014)、この点でもマジョリティである。
アスペルガーを配偶者にもつことにより、カサンドラ症候群に陥ってしまう定型(=アスペルガーでない)配偶者はアスペルガーが属する自閉文化(長瀬, 2013)と定型配偶者が属する自文化の間で振り回されてしまう立場であり、そのカップルを取り巻くマジョリティ文化は定型配偶者の属する自文化であるという複雑なものである。
カサンドラ症候群が認識されないのは、その立場が認知されにくいことにも原因がある。それは、アスペルガーという障がいが認識され始めたのが近年でその主な対象者は年少であることがまず一つ考えられる。カサンドラ症候群に陥ってしまう人はアスペルガーを配偶者にもつことにより引き起こされる心身の不調である(Aston, 2014)ため、すでに成人しているアスペルガーが認識されていない現在において、仕事ができているように見える場合、カサンドラ症候群に目が向かうことは一般的に難しく、定型配偶者が抱え込んでしまう個人的な領域に押し込まれてしまっているのが現状である。
このケースは定型配偶者がアスペルガー配偶者のお世話、カップルとしてすべきこと二人分の役割を果たす必要も出てくる場合もある。つまりジェンダーロールの両性分+αをこなすことになる。その現状が第三者に理解されることが難しく、無理解からくる悪気のない社会常識を根拠とするアドバイスで傷つくことも多い。アドバイスにより新たな混乱を起こしてしまい解決に結びつくのが困難な現状がある。
ここにみられるのは、既存のジェンダーロールや社会構造との齟齬、家庭内という個人の領域での不調和、アスペルガーに対する認識不足あるいは偏見、などの問題である。これらを一手に引き受けてしまうと、心身に不調が起きることにつながる。定型配偶者に起こるアスペルガーの二次障害とも言われている。
近年、カサンドラ症候群が一般紙でも取り上げられるようになったが、一般的に家族のプライバシーを守るため、問題点そのものをすべて語れない現状もある。
カサンドラ症候群の当事者自助グループ、にじいろの設立からのプロセスと、関係者の語りを分析する。

方法
調査対象者 
カサンドラ症候群を対象とした自助グループ、‘にじいろ’とそれに関わってきた人物

手続き 
個人の問題と、会の設立からの取り巻いてきた環境とその変化をみる。
おもに、広報目的のブログと‘語り’対象とする。語りはグランテッドセオリーで分析し、この立場の問題点と会の意義を明らかにしていく。

結果
現在まで参加者さんからよく聞かれる言葉は「通じる!」であり、それはこの語っている二人も同様の発言がみられる。共感できる場を得ることから、発言する力をもつことができると感じられる。
現時点で最終段階での‘語り’が実施されていないが、「通じる!」を意味する共感を得られることが大きいと結果で出ると予測される。

考察
この問題に直面している人の人数が少ない上、不可視性の高い個人の領域で起こっている問題であるため、当事者が客観視することが難しく、問題解決に結び付きにくい点がみられる。
しかし、自助グループに参加することで共感を得え、発言力を増していき、自分自身の人生を取り戻すことにはつながっていくと感じられる。
今後、カサンドラ症候群という立ち位置から、同じように文化の異なることに起因する問題に共通点をみつけ、共感からくる客観視、より強い発言力につなげられるのではないかと考えられる。


引用文献
長瀬修(2013).多文化共生論 多様性理解のためのヒントとレッスン 加賀美常美代(編) 明石書店 pp.221-245

野波ツナ・宮尾益知(監修)(2014).旦那(アキラ)さんはアスペルガー 4年目の自立!? 
コスミック出版


松尾知明(編)(2013). 多文化教育をデザインする 移民時代のモデル構築 勁草書店 


Aston, Maxine (2014) . The Other Half of Asperger Syndrome - Autism Spectrum Disorder: A Guide to Living in an Intimate Relationship with a Partner who is on the Autism Spectrum. Jessica Kingsley Pub.

by aaa-ruicchi | 2014-09-14 22:35 | こんな会あります③学会発表など


カサンドラ愛情剥奪症候群からみえてくるもの
―アスペルガーを配偶者にもつこととは―


多文化に「女性」や「障がい者」も含まれることから、アスペルガーやカサンドラ愛情剥奪症候群についてここで述べる。生得的な特徴を元とする障がいにより、見えるもの・判断するものが定型と異なるアスペルガー。想像力と創造性、社会関係をもつ、コミュニケーション、この三点における障がいである。このアスペルガーから広がりをみせる関係で見落とされがちな配偶者、この立場の人間が精神的・肉体的に支障をきたすカサンドラ愛情剥奪症候群に陥る背景が存在する。
近年、アスペルガーへの認識は低年齢であればあるほど、広まりを見せている。教育機関・医療機関をはじめとする公的機関による対応も年々ますます深くきめ細やかなものとなりつつある。
しかし、公的な対応から抜け落ち、その障がいが気づかれることなくすでに成人しているアスペルガーへの対応は個人レベルが負うものとなっている。社会生活においてはただ個性的という範疇でおさまりきれない反社会的な言動をすることも稀ではない障がいであるが、知的に問題のないこともあり一見その障がいに気づけないことも珍しくない。それらアスペルガーのフォローをする個人の立場の人間が存在する。見落とされがちなのが定型配偶者である。社会全体が定型で本人も定型であるが、不可視性の高い密室でもある核家族内では、定型配偶者は決してマジョリティな存在ではない。それはアスペルガーという障がいだけが原因ではなく、ジェンダー役割分担が社会規範として存在するため、もしくは当事者たちや周りが障がいに気づくことがないために、起こり得る状況である。
アスペルガーは男女比では8対1と男性に多くあらわれる障がいであり、単純に考えると、その配偶者は女性である。性別役割規範には「妻はお世話して当たり前」、「妻は夫の悪口を外で言うものではない」などがいまだに根強く存在することもあり、アスペルガーである配偶者のお世話をしているにも関わらず、暴言暴力の対象になることも多々起こっている。定型のカップル間で起こっているDVとあまり変わらない土壌でもある。
周りからその苦境を理解されず、否定され、孤立している定型配偶者は少なからず存在し、中にはカサンドラ愛情剥奪症候群の症状がでている。Aston氏は「ASの人たちはパートナーから(たいていは意図せずに)感情的な剥奪を行い、その影響はパートナーの心身の健康に及ぶ。特にカップルでは問題の原因(=パートナーがAS)がわかっていない場合、その被害は大きくなる。」と指摘している。これらの症状は定型配偶者がアスペルガーにより人として尊重されていないため起こっている。自助グループ「にじいろ」の活動を通して、障がいそのものだけでない、問題点を具体的に指摘する。
それにより、それぞれの人が違いを認め合い、尊重しあい、それぞれの特徴を生かす多文化社会につながることを願っている。
by aaa-ruicchi | 2013-09-24 11:17 | こんな会あります③学会発表など
1)
アスペルガーを配偶者にもつ人のおかれている状況
~定型と非定型という異文化からみえてくるもの~


2)
異文化間教育の中で
★文化多元主義:
女性や障がい者も‘多文化’に含まれる
★(アメリカ)多文化教育の実践
リハビリテーション法(1973)
全障がい者教育法(1975)

アメリカでは、黒人による公民権運動の流れで、他の少数派である民族運動につながった。その流れは女性や障がい者の権利獲得にまでつながる。それは、それまでのアメリカのメインストリーム(=WASP中心社会)への同化政策からの脱却である。
実践としては障がい者に対する雇用機会や環境整備、公教育による各人の特性に合わせた教育の保障に関する法律も成立。


3)
★カサンドラ愛情剥奪症候群の症状が出ている人の視点


4)
アスペルガー(非定型)
⇒自閉症スペクトラムの中、アスペルガーは長年、その特徴を生かした教育の対象から見落とされてきた
≒現在、早期では乳児健診で発見されることも
=より適切な教育(療育など)を受ける機会が得られる
⇒(年齢的に)結婚しているアスペルガーは・・・
見落とされているケースが多く、大人のアスペルガーへの対応も行政によりばらつきがある。診断を下す医療機関にもばらつきがある。


5)
アスペルガー(以降AS)とは
★三つ組の障がい
①想像力と創造性の障がい
②社会的関係をもつことの障がい
③コミュニケーションの障がい
ASは男性に多い(男女比は8対1)
学歴をつけ、仕事をしていることも多い
しかし、特性にあった適切な教育などを受ける機会がなかったこともあり、ASの特徴からくるものだけでなく、様々なトラブル(ASの特徴を原因とした二次障がいなど)をかかえる

ASにとっては、定型配偶者だけでなく、社会全体が異文化
定型にとっては、自文化の中で異文化のAS配偶者(家庭内が異文化がせめぎ合っている)


6)
男性ASと結婚した定型女性
配偶者のほとんどが女性である事実
=ジェンダー役割が入り込む=良い嫁・良い妻・良い母=夫のお世話して当然、夫の愚痴を言うと世間からバッシングを受ける

恋愛では、個性的!と感じる程度
結婚そのものでも、社会的な関係が表面化すると、定型が理解できない行動がみられる
子どもを持つことで、父親としての役割が果たせない

↑すべてのASがこのような状態ではありません。個人により症状の出方も異なります。
 

7)
男性ASと結婚した定型女性2
=ASを配偶者にもつ女性は嫁・妻・母役割を果たした上、AS夫が本来すべきこともし、その上、AS夫をお世話する必要
AS夫に心無い言葉を浴びせられる、暴力を受けることもある(=三つ組の障がいにあてはまる行為による)
その対象は妻だけではなく子どもにも向かうことも
=DVの被害者になりうる定型の配偶者・子ども
⇒しかし、その実態を話しても、信じてもらえることが少ない:「男ってどこもそうだから」、「優しそうなご主人なのに、そんなことを言うのはわがままよ」
前段階として、「良い嫁は夫の悪口を外で言わない」というジェンダー役割に縛られ、発言すらできないケースも多い 
良い嫁は夫のお世話をして当然とのジェンダー役割に支配された思考から、現状に気づきにくい


8)
カサンドラ愛情剥奪症候群1
「ASの人たちはパートナーから(たいていは意図せずに)感情的な剥奪を行い、その影響はパートナーの心身の健康に及ぶ。特にカップルでは問題の原因(=AS)がわかっていない場合、その被害は大きくなる。」
(Aston,2008)


9)
カサンドラ愛情剥奪症候群2
主な症状
・偏頭痛、体重の増加または減少
・低い自己評価、または自己の損失
・広場恐怖などの恐怖症
・不安
・抑うつ、無気力感
・リビドーの損失


10)
カサンドラとは
ギリシア神話の登場人物。アポローンは、「カサンドラの予言をだれも信じないように」呪いをかけてしまう。
パリスがヘレネーをさらってきたときも、トロイアの木馬をイリオス市民が市内に運びこもうとしたときも、これらが破壊につながることを予言して抗議したが、だれも信じなかった。・・・
⇒「カサンドラの予言をだれも信じないように」・・・

「だれも」とは誰?=自分の身内や各種相談機関


11)
“Having a voice.”
★Aston博士のASを配偶者にもつ女性に対する言葉
⇒自助グループ、にじいろに参加
ここでは本名以外で呼び合い、普段の困り感を語り合っている
気づきと共感があり、普段理解されないことが理解される。
=三つ組の障がいの特徴にたどり着くエピソード
→少なくとも自分は悪くないと確認できる

12)
問題点
★少数派であるASと、より少数派である健康問題であるカサンドラ愛情剥奪症候群
仕事ができているASは医学的に問題なしとみなされることもある
カサンドラ愛情剥奪症候群は配偶者のASとの診断が前提であること、症状そのものがほかの診断名がつくことも多い
ASの家族としてASの配偶者は援助の対象者ではない
=ASの家族は親であると見なされている
=ボーダーである立場、援助はASが低年齢であるほど手厚い
★この中の少数
国際結婚(一般的な社会より多い印象:1割程度)
女性ASの配偶者である男性定型
AS同士のカップル
★密室の中での個人の営みであることから、不可視性と援助が入ることの問題
:DVの問題と重なる
★一見誤解を受ける関係:
ジェンダー役割にうまくはまる場合があるAS夫。
単に良い嫁としてだけでなく、それ以上のフォローを要求される状況である定型妻であるが、カサンドラのような状況にある。


12)-2
問題点
他の異文化の問題と同様に
★より少数のマイノリティが苦境
=理解されない、発言できない、想いが反映されない
★公的な支援=まず、法的に:家族に配偶者や子どもを含むように
★定型・非定型、両者への教育(療育や障がい者理解など)
★ジェンダー役割を盲目的に実行してしまうことによる不利益
★ジェンダー役割が蔓延している社会(男性の育児・女性の就労に困難を伴う社会構造)


13)
提案
★対・AS
⇒早期発見の必要
⇒発見したら適切な教育などの提供の必要
⇒コミュニケーションエラーの原因の一つとして、ASを疑ってみてもいいのでは?例)いじめや登校拒否
★対・カサンドラ愛情剥奪症候群
⇒まずは、専門家にご理解いただきたい
⇒カサンドラ愛情剥奪症候群への何らかの援助が必要
⇒エンパワメントへ
(個人レベル→他者関係レベル→社会関係レベル)


14)
参考図書・URL
★自閉症スペクトラム学会編(2012)
『自閉症スペクトラム辞典』教育出版
★松尾知昭著(2013)
『多文化教育がわかる事典―ありのままに生きられる社会をめざして―』明石書店
★山田礼子(2009)
「多文化共生社会をめざしてー異文化間教育の政策課題ー」、『異文化間教育30号』異文化間教育学会
★にじいろ 
http://aaaruicchi.exblog.jp/
★Aston氏のHP
http://www.maxineaston.co.uk/


15)
ご清聴ありがとうございました




by aaa-ruicchi | 2013-06-09 11:16 | こんな会あります③学会発表など
日本自閉症スペクトラム学会で話したこと(10p分、ブログバージョン)

1p
日本自閉症スペクトラム学会
第10回研究大会自主シンポジウム
話題提供者:にじ百合香(あ~あ)
2011.09.11

2p
1.はじめに

1.はじめに
2.カサンドラ愛情剥奪障害
3.自助グループから見えてきたカサンドラ愛情剥奪障害
4.周囲の人、社会に望むこと
5.お礼:読んでいただいてありがとうございました

言葉の紹介
・カサンドラ愛情剥奪障害
アスペルガー症候群の人たちはパートナーから感情的な剥奪を行い、その影響はパートナーの心身の健康に及ぶ。特にカップルでは問題の原因がわかっていない場合、その被害は大きくなる。(Aston,2008)

・アスペルガー(以後ASDと表記)の特性を配偶者の立場からみると
相互的な対人相互交渉の質的障害
⇒失礼で、状況や経緯無視の言動
行動・興味・行動などの限定された反復的で常同的な様式
⇒日々の突発的な出来事への対応不可(=パニックを起こす)
⇒⇒表現/理解できないことがもどかしく暴言暴力にまで発展する可能性

言語および認知発達における明確な全体的な遅れがない
⇒障害に気づかない
能力の高い自閉症(高機能自閉症)と同じものと考えられている
⇒障害に気づかない、何らかのスペシャリスト
⇒⇒プライドの高いエリートである可能性

『障害児教育大事典』茂木俊彦編より抜粋と配偶者からの視点

3p
2.カサンドラ愛情剥奪障害
ASDを配偶者にもつ人が引き起こされる

2-①.症状(Aston氏*のHPより)
★カサンドラ愛情剥奪障害とは(HPより一部コピペ)

みられる症状
・Low self esteem. (低い自己評価)
・Feelings of anger/depression.(抑うつ)
・Loss of self. (自己の損失)
・Anxiety. (不安)
・feeling guilty.(自責)
・Phobias - agoraphobia - flying - social. (広場恐怖などの恐怖症)
・Complete breakdown. (無気力感)
・Mental health. (⇒リピドーの損失)
・Physical health. (⇒偏頭痛、体重の増加/減少)
⇒☆Having a voice

*Aston:イギリスのカウンセラー
ASDを配偶者にもっていた 著書多数 配偶者の負担を指摘

4p
2-②.問題点(参加者の立場から)

・ASDであると気づくまで時間がかかる
・カサンドラ愛情剥奪障害の症状そのものに気づかず、自分自身を責め続け、頑張ってしまう
・対応する機関が少なく、あったとしても行政によりバラつきがある

☆不可視性:家庭内のことなので、外から見えにくいため、第三者からも気づかれず、本人も気づくのに時間がかかる

5p
2-③.対策

社会に知ってもらう必要
・知られていないASD
・もっと知られていない配偶者の立場と
 配偶者のカサンドラ愛情剥奪障害

自分自身を肯定する必要
・言われた通り、まじめに役割をこなす配偶者
⇒自分自身を責め続ける

6p
3.自助グループから見えてきたカサンドラ愛情剥奪障害
3-①.実態(会で語られたことをプライバシーに配慮して語ると・・・)
カサンドラ愛情剥奪障害の症状が引き起こされる環境が聞かれる
ASDである配偶者によるDVの危険
ASDである配偶者に向き合い、二人分の家の中のことをし、対世間に対することもこなす必要
ASDである配偶者の実家にASD的な文化があり、そこに入っていくと孤立する現状 
子どもがいる場合、問題はより複雑
世間からの二次被害:「優しそうな/仕事熱心な/まじめなご主人なのに」
=訳の分からんことが怒涛のごとく、一つずつ向き合い一人で解決する必要
=社会に対しても、
理解されないまま、不義理をしてしまい、信用を無くす

☆カサンドラ愛情剥奪障害の症状が引き起こされる方は、母性的で保護者役割をこなしてしまう人が多い。(にじの見解)

7p
3-②.配偶者グループから見えてくること
ASDという障害そのものだけが問題でなく、性別による役割分担が暗黙裡にあることが、その配偶者を追い込んでしまう原因にもつながっている
家庭内という、不可視性 内と外のギャップ 
レッテル(‘エリートの夫’をもつ妻)と世間体

カサンドラ愛情剥奪障害を引き起こす典型的なカップルの例
積極奇異型*のASDである夫と、ジェンダー役割を果たしてしまう妻


*積極奇異型:ASDを4タイプに分けたその一つ

8p
3-③.対策
共感が得られる人や場をみつける必要
=自助グループの意義
社会からの援助=ASDの専門家*や機関にアクセスできる体制
ASDを知ってもらう必要(ASD本人、ASDを配偶者にもつ人、周りの人、社会、専門家*も含む)



*ASDに問題意識をお持ちでない専門家(精神科医、カウンセラー、教育関係者など)もめずらしくなくいらっしゃる現実 
*ASDを専門に対応なさっている方もいらっしゃいます

9p
3-④.メリット
共感
普段属している社会では、言っても理解してもらえないが、この会では理解が得られる
=二次被害が起きにくい
普段属している社会では、言いにくいエピソードでも
根本はよく似た経験をしている人ばかりなので、言える
共感を得られることでエンパワーメントされる
⇒Having a voice
ASDに関する情報の共有
⇒知ることにより、訳の分からない状態からの脱却

10p
4.周囲の人、社会に望むこと
ASDという障害を知ってほしい
その配偶者がどれだけ大変かに耳を傾けてほしい
カサンドラ愛情剥奪障害を知ってほしい
社会全体で理解し、バックアップされる体制がほしい
⇒特に専門家の方にこのような立場の人間がいることを意識していただければありがたいです。
⇒ASD・カサンドラ愛情剥奪障害の専門家へのアクセス確保

ASDの方に
決して悪口を言っているわけではなく、私の立場で困ったことを言っているだけだとご理解いただければありがたいです。決して敵対していないことをご理解ください。



読んでいただいてありがとうございました。


11月28日加筆
by aaa-ruicchi | 2011-10-03 01:49 | こんな会あります③学会発表など