多文化関係学会の抄録

11月にある多文化関係学会の抄録です。ポスターセッションで参加してきます。以下の抄録は修正後、提出するものです。ほか、お気づきの点などありましたら、御意見お聞かせください。

カサンドラ症候群
―多文化関係の視点とその不可視性から―
Cassandra Affective Deprivation Disorder:
Perspective of Multicultural Relations and Invisibility

♡♡♡♡(にじいろ)♡♡♡♡ (NIJIIRO)

はじめに
多文化の文化の一つには障がいも含まれるという(松尾, 2013)。アスペルガー(=非定型)という障がいがあり、その基本的な特徴は、社会性の障がい・コミュニケーションの障がい・想像力と創造性の障がい、の三つ組といわれるものである。この文脈で障がいという意味ではマイノリティのはずであるが、学歴や職歴および収入の意味でマジョリティのケースも多くみられ、‘…お父さんは高学歴高収入で生活は恵まれている、それなのにお母さんはすごく疲れているという…’と指摘されている(宮尾, 2014)。加えて、家庭内という不可視性の高い個人の領域では本人が無自覚に家族を振り回しているケースが多く存在し(Aston, 2014)、この点でもマジョリティである。
アスペルガーを配偶者にもつことにより、カサンドラ症候群に陥ってしまう定型(=アスペルガーでない)配偶者はアスペルガーが属する自閉文化(長瀬, 2013)と定型配偶者が属する自文化の間で振り回されてしまう立場であり、そのカップルを取り巻くマジョリティ文化は定型配偶者の属する自文化であるという複雑なものである。
カサンドラ症候群が認識されないのは、その立場が認知されにくいことにも原因がある。それは、アスペルガーという障がいが認識され始めたのが近年でその主な対象者は年少であることがまず一つ考えられる。カサンドラ症候群に陥ってしまう人はアスペルガーを配偶者にもつことにより引き起こされる心身の不調である(Aston, 2014)ため、すでに成人しているアスペルガーが認識されていない現在において、仕事ができているように見える場合、カサンドラ症候群に目が向かうことは一般的に難しく、定型配偶者が抱え込んでしまう個人的な領域に押し込まれてしまっているのが現状である。
このケースは定型配偶者がアスペルガー配偶者のお世話、カップルとしてすべきこと二人分の役割を果たす必要も出てくる場合もある。つまりジェンダーロールの両性分+αをこなすことになる。その現状が第三者に理解されることが難しく、無理解からくる悪気のない社会常識を根拠とするアドバイスで傷つくことも多い。アドバイスにより新たな混乱を起こしてしまい解決に結びつくのが困難な現状がある。
ここにみられるのは、既存のジェンダーロールや社会構造との齟齬、家庭内という個人の領域での不調和、アスペルガーに対する認識不足あるいは偏見、などの問題である。これらを一手に引き受けてしまうと、心身に不調が起きることにつながる。定型配偶者に起こるアスペルガーの二次障害とも言われている。
近年、カサンドラ症候群が一般紙でも取り上げられるようになったが、一般的に家族のプライバシーを守るため、問題点そのものをすべて語れない現状もある。
カサンドラ症候群の当事者自助グループ、にじいろの設立からのプロセスと、関係者の語りを分析する。

方法
調査対象者 
カサンドラ症候群を対象とした自助グループ、‘にじいろ’とそれに関わってきた人物

手続き 
個人の問題と、会の設立からの取り巻いてきた環境とその変化をみる。
おもに、広報目的のブログと‘語り’対象とする。語りはグランテッドセオリーで分析し、この立場の問題点と会の意義を明らかにしていく。

結果
現在まで参加者さんからよく聞かれる言葉は「通じる!」であり、それはこの語っている二人も同様の発言がみられる。共感できる場を得ることから、発言する力をもつことができると感じられる。
現時点で最終段階での‘語り’が実施されていないが、「通じる!」を意味する共感を得られることが大きいと結果で出ると予測される。

考察
この問題に直面している人の人数が少ない上、不可視性の高い個人の領域で起こっている問題であるため、当事者が客観視することが難しく、問題解決に結び付きにくい点がみられる。
しかし、自助グループに参加することで共感を得え、発言力を増していき、自分自身の人生を取り戻すことにはつながっていくと感じられる。
今後、カサンドラ症候群という立ち位置から、同じように文化の異なることに起因する問題に共通点をみつけ、共感からくる客観視、より強い発言力につなげられるのではないかと考えられる。


引用文献
長瀬修(2013).多文化共生論 多様性理解のためのヒントとレッスン 加賀美常美代(編) 明石書店 pp.221-245

野波ツナ・宮尾益知(監修)(2014).旦那(アキラ)さんはアスペルガー 4年目の自立!? 
コスミック出版


松尾知明(編)(2013). 多文化教育をデザインする 移民時代のモデル構築 勁草書店 


Aston, Maxine (2014) . The Other Half of Asperger Syndrome - Autism Spectrum Disorder: A Guide to Living in an Intimate Relationship with a Partner who is on the Autism Spectrum. Jessica Kingsley Pub.


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アストン博士のHP

イギリス人のカウンセラー、アストン博士はカサンドラ愛情はく奪症候群におちいっている人を対象としたカウンセリングや書籍が多数あります。日本語の本でもアストン博士の理論が引用されているのをよく目にします。


Maxine Aston氏のHP
http://www.maxineaston.co.uk/

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野波ツナさんからのアンケートご協力の依頼がありました

こんにちは。アキラさんシリーズの作者、野波ツナさんからアンケート協力の依頼コメントをいただきました。
私も昨夜回答しました。以下、ツナさんのブログ(http://ameblo.jp/nonamituna/)からのコピペです。



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いつもありがとうございます。
ここでツナから皆様にお願いがあります。


カサンドラのアンケートにご協力ください!

ツナとは違う環境でカサンドラに悩んでいる方はたくさんいらっしゃいます。
特に未診断の場合は声を上げることさえ難しいのが現状です。
そういった方々の声を確認し、カサンドラの現実を知りたいと思います。
(アンケート期間 8月28日~9月10日)

このアンケートで書かれた内容については厳重に取り扱います。
 他メディアなど外部に情報を漏らすことはありません。
 ブログ内で取り上げることもありません。
 
対象者・・・カサンドラである、カサンドラかもしれない、かつてカサンドラだった、等の方。
 夫婦の立場でなくてもお答えいただけます。
 


↓こちらをクリックするとアンケートページに行きます
http://www.cosmicpub.com/user_data/aspcas.php

コスミック出版HP内の特設サイトになります。

アンケートは記述式です。選択式ではありません。
 吐き出したい事、知って欲しい事など何でもお書きください。


皆様、どうぞご協力よろしくお願いします。   野波ツナ
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2014年8月2日の会にご参加くださり、ありがとうございました

こんにちは。
8月2日の会のご報告が今になり、失礼しております。私、あ~あは入院中で外出許可が出なかったので欠席させていただきましたが、るいっちさんから文章をいただいておりますので、それをそのまま載せます。それから、お聞きしたことを個人が特定できないように工夫して、ご報告します。
あ~あ

るいっちさんの文章:
毎回感じるのですがアスペルガーの支援をしていることで女性はどんどん強くなっていくようです。もちろんくじけそうだし孤独だしなんともいえない苦しさを抱えますけど。

私もるいっちさんと同意見です。私自身がそうです。自分自身が感じていることそのものが正しいのかどうなのか、混乱していて、外で言っても徹底的に否定され続けてきましたから。こうやって、わかりあえ、肯定しあえる場はありがたいです。まず、通じるのは驚きですし、日々起きていることを客観的に振り返ることができます。
支えと混乱で満ちている日々の積み重ね、その積み重ねが強くしてくれるんでしょうね。実感としてありますし、この会に参加して確認できますし、皆さんのご発言にもそれを感じます。

るいっちさんからお聞きしたことをもとに:
同じくASDを配偶者にもち、大変な思いをしているという共通点だけで集まっていますが、今回は世代間で上の世代の方が下の世代の方へのお手本を示してくださったとお聞きしています。また、これは推測ですが、上の世代の方々は与えるだけでなく、ご自分のご経験そのものの肯定やまとめ直しの機会になったのであれば、ありがたいのですが、いかがでしょうか?また、同世代内では今抱えている問題の確認もできるのではないかと推測しています。
それから、この8月2日の会から遠方にあたらしいカサンドラを対象とした会の芽吹きがあるとお聞きしています。他の参加者さんにも共感とお手本を示してくださる素敵なお姉さまだとお聞きしています。発足したら、参加したいです。その後のご報告してくださったら、嬉しいです。このような会が増えていくことを願っています。それがカサンドラの居場所づくりとカサンドラの声を反映させるその土壌づくりにつながっていくと期待しています。


以上8月2日の会のご報告でした。
ご参加なさった方、上の通りでない場合、もしくは書かれることに不利益を被る場合、ご連絡いただけますでしょうか。今回はこのご報告を書くことを会でお伝えしていませんので、お気に触られた場合は早急にご連絡ください。この欄でも、メールにでも。よろしくお願いいたします。

文責:あ~あ

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多文化関係学会:ポスターセッション申し込み

ポスターセッションに以下の内容で申し込みました。


(その後)おかげさまで、発表が決まりました。
11月に福島大学で行われる多文化関係学会のポスターセッションに参加します。
今後、抄録提出の必要があり、学会からいただいたアドバイス(=理論と方法を明確に)を念頭に考えているところです。
ポスターと合わせて、またアップいたします。
ご意見いただけましたら、ありがたいです。



カサンドラ症候群

―多文化関係の視点とその―



*発表概要(400-600字) / Abstract (250-300 words) *


カサンドラ症候群が認識されるには、その立場が認知されにくいことにも原因がある。それは、アスペルガーという障がいが認識され始めたのが近年でその対象者は年少であることがまず一つ考えられる。カサンドラ症候群に陥ってしまう人はアスペルガーを配偶者にもつことにより引き起こされる心身の不調であるため、すでに成人のアスペルガーが認識されていない現在において、カサンドラ症候群に目が向かうことは一般的に難しく、当事者が抱え込んでしまう個人的な領域に押し込まれてしまっているのが現状である。


このケースは定型(=アスペルガーでない)がASD配偶者のお世話をし、サンドバックになり、カップルとしてすべきこと二人分の役割を果たす必要も出てくる場合もある。つまりジェンダーロールの両性分+αをこなすことになる。その現状が第三者に理解されることが難しく、悪気のないアドバイスから傷つくことも多く、解決に結び付きにくい現状がある。


ここにみられるのは、ジェンダーロール、家庭内という個人の領域、社会構造との齟齬、アスペルガーに対する認識不足あるいは偏見、などの問題である。これらを一手に引き受けてしまうと、心身に不調が起きることにつながる。アスペルガーの二次障害といってもいいのかもしれない。


 他の多文化間関係の事例をヒントに、アスペルガーと定型の共存共栄への手立てとカサンドラ症候群への解決への糸口を探る。

584字数




*多文化関係学との関連性(約200字) / Please explain the relevance of your proposed topic to theconference theme. *発表内容がどのような点で多文化関係学と関連するのか簡潔に記してください。


ASD配偶者をもつことと多文化関係学との関連性は二重にあると考える。


まず一つはASDと定型との二文化接触である。もう一つはこの関係を第三者に理解されないことである。定型である第三者がASDに関する認識不足から定型文化を根拠にするのが原因である。


定型文化をもちながらASD文化と強く関わりを持ち振り回され、理解されない存在である。


この多文化、関係、をキーワードにこの立場を理解し、ASDとの共存共栄への方向性を見出す手立てを考える。



*メモ

近年より年少のアスペルガーへの対応は進んできている。
しかし、その対象から外れすでに大人になっている人は存在する

・歴史的にも偉人として名を残している人がいる

・実際は不自由を本人が感じながら生活していたり、周りのフォローによって成り立っている

→その周りのフォローの一つがアスペルガーのパートナーである定型の配偶者

・ジェンダーロールに巻き込まれる(男女どちらでも、二人分する必要、社会構造との齟齬)

・不可視性:家庭内で起こるため=個人の領域に押し込まれる

・アスペルガーへの認識不足=偏見も含まれる

・家庭内、家庭外、社会で孤立していく

⇒カサンドラ症候群になってしまう(アスペルガーをパートナーにもつことによる身体への悪影響)

解決は?

・認識を広め、少なくともこの状況を否定されない社会

・他の文化間接触の例からヒントを得る





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